てんかん

 てんかんというのは、脳の一部あるいは全体に突発的に異常な興奮が起こり、そのために発作的にけいれん、意識の障害、その他の症状が起こる状態です。てんかんには、原因が不明な真性てんかん(本態性てんかん)と、原因が分かっている症状てんかんがあります。

 症状てんかんのうちには、脳に脳腫瘍、脳炎、脳の血管障害(出血、軟化、脳動脈硬化)などの病気があるために起こる狭い意味の症状てんかんと、過去に脳の病気、たとえば出産時に脳の損傷や幼少児期の脳炎、髄膜炎、頭部外傷などが原因で起こる残遺てんかんとがあります。

 ふつうてんかんという場合には、真性てんかんと残遺てんかんをいいます。てんかんには、幼少児期ならびに思春期に発病することが多く、人口の約0.3%前後にあらわれ、地域や人種による出現率の差はあまりありません。

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 ● 原因
 症状てんかんについては先に述べましたが、真性てんかんの原因はまだよく分かっていません。

 ある病気が、遺伝素因によるものか、環境因(外因)によるものかを調べるために用いられる双生児法によって調べると、一卵性双生児では両方がてんかんになる率が40~70%、二卵性双生児では10%前後ですから、真性てんかんの発病に遺伝子が関係しているのは確かです。
 
 しかし、一卵性双生児でも30~50%は一致しないので、素因以外の原因もかなり関係していることがわかります。

 てんかんの原因を年齢別にみると幼少児期のてんかんでは、出産時前後に受けた障害、脳性小児まひや脳炎、髄膜炎などによる残遺てんかんが多くみられます。30歳前後には脳血管障害、脳腫瘍などによるものが多く、10歳代に発病するものは、真性てんかんが多いといわれています。

 ● 症状
 てんかんの症状には、発作の症状と、性格障害などの発作以外の症状とがあります。

 大発作
 てんかんの発作のうち最も多いもので、患者は意識を失って倒れ、最初に手足を突っ張る強直けいれん、続いて手足をがたがたふるわせる間代けいれんが起こり、1分間くらいでけいれんはやみ、あとは数分間いびきをかいて眠ります。意識がかなりはっきりするには10分以上かかります。

 意識が失われる数分前から気分が悪くなったりする前駆症状、意識がなくなる直前に目がちらちらしたり、手や足がしびれたりする前兆によって、発作が起こりそうだということが本人に分かる場合もあります。けいれんが左顔面、左手、左足、右足、右顔面というふうに全身を移動するのを、ジャクソン型発作と呼びます。

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 精神運動発作
 意識が障害されると同時に、舌うち、かみ、飲み込むなど食べることに関係した運動や、手で衣服などをいじる、あたりをきょろきょろ見回す、歩きまわるといったその場にそぐわない行動をします。これらの発作は自動症と呼ばれます。発作中の記憶はありません。

 精神運動発作は、小発作よりも年長者の起こることが多く、けいれん発作を持っていることもあります。

 自律神経発作
 胃部異常感、吐き気、頭痛、腹痛、心悸亢進などが、てんかん発作として起こるものです。

 てんかん重積状態
 てんかん発作がほとんど休みなくあいついで起こる状態です。とくに大発作の重積状態は放置すると生命にかかわるので危険です。

 発作以外の症状
 てんかんには発作症状のほかに性格異常、知能障害、てんかん精神病などがあります。

 一般に、てんかん発作を持つ人は几帳面で根気が良い反面、まわりくどく頑固で、言語動作がのろく、しかも短気でカッとなりやすい性格を持つことが多いようです。特に短気で暴力をふるったりして家族や周囲の人が困ることがあります。

 性格変化は、大発作で発作回数が多いときや、精神運動発作を持つ人に多くあらわれます。大発作が、長年にわたって頻繁に繰り返し起こると知能の障害が起こることがあり、これをてんかん性痴呆といいます。