脊髄小脳変性症

 脊髄小脳変性症は、小脳、または脊髄から小脳へ至る神経の線維などの変性によって、徐々に歩行や手足の運動が無器用になってくる病気の総称です。

 この小脳、または神経線維などの変性が、なぜ起こるのか原因はよく分かっていませんが、遺伝的なものと、老年性の小脳系統の変性とに区別されます。

 ● 老年性脊髄小脳変性症
 老年性のものとしては、初老期または中年以後に徐々に発病し、言葉が不明確となり、歩行がふらふらして、手指がうまくきかなくなるオリーブ・橋・小脳委縮性や実質性小脳変性症があります。

 オリーブ・橋・小脳委縮性は、延髄のオリーブ核や、橋から小脳へいく神経線維が変性を起こすための病気であり、実質性小脳変性症は、小脳の皮質が変性を起こすものです。

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 どちらも症状は似ていて、徐々に進行する形をとりますが、前者の場合は、しまいには手足がかたくなり、表情が乏しくなって、パーキンソン病に似た症状を示すことがよくあります。

 治療としては、あまり有効なものはありませんが、ビタミンB1剤、B12剤、ATPなどを投与することが多いようです。このほか、各種のがん、特に肺がんなどがあるときに小脳失調症を起こすことがあります。中年以降の人が、徐々にふらつき、小脳変性の状態を示すときは、がんの有無を検査する必要があります。

 ● 遺伝性脊髄小脳変性症
 遺伝的なものとしては、フリードライヒ型失調症、マリー型失調症があります。

 フリードライヒ型失調症
 おもに小児に起こるもので、多くは7~13歳ごろに発病します。

 遺伝性(常染色体劣性)の因子によって起こることが多く、したがって血族結婚で生まれた子供に起こりやすい病気です。いつとはなしに歩き方がふらふらし、千鳥足になります。ボタンがはめられない、コップを持つと震えるなど、手も無器用になります。また、ことばも不明確になります。足は先天的の変形があり、土踏まずが高くなっていて、背骨が曲がっていることもあります。

 感覚は下肢がわずかにおかされ、ときには手や足の筋肉がやせてくる筋委縮症を合併します。この病気は数年間の経過でゆっくり進行し、知能低下を伴うこともあります。完全になおすことはむずかしく、対症療法が中心になります。

 たとえば、大きい鏡を見ながら歩行練習を行ったり、整形手術で足の変形をなおして歩けるようになるなどの方法をとります。

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 マリー型失調症
 この病気は思春期以降に起こります。遺伝(優性遺伝)が多く、数年にわたって、次々と同じ病気が起こることがあります。いつとはなしに歩行がふらつき、千鳥足になります。次いで手が不自由になり、力はあるのですが、細かい運動ができなくなり、ことばも不明確となります。

 また、ものが二つに見えるなどの視力障害も起こってきます。膝反射が強く亢進するのも特色です。フリードライヒ型失調症とほとんど同じで、大きい鏡を見ながら歩行練習をしたり、整形手術で足の変形をなおして、運動訓練などを行います。