乳様突起炎

 耳の後ろを触ってみると、曲玉のような形の骨に触れます。これが乳様突起です。乳様突起の内部は、ちょうどカルメ焼きのように多数の空洞に分かれていて、それが全部中耳と続いています。

 したがって、中耳炎が起こると、ここにも炎症が波及する危険があります。こうして起こるのが乳様突起炎です。この病気は必ず中耳炎の合併症として起こるもので、乳様突起炎が中耳炎なしに起こることはありません。

● 症状
 乳様突起炎が合併すると中耳炎も悪化して長引き、耳だれが増えたり、聞こえが悪くなったりします。

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 そのほか不快感、頭痛、めまい、熱、耳の重苦しい感じなどを伴うこともあります。そのうちに、耳の後ろを押すと痛むようになり、もっとひどくなると、はれてくるようになります。

 赤ちゃんの場合には、耳の上がはれてくることもあります。このようになったら、すぐに乳様突起炎の手術を受けなければならないようです。

● 合併症
 乳様突起の中に炎症が起きてうみがたまると出口がないので、どこかに破れて出る以外方法がありません。しかもこの付近には脳をはじめいろいろと大切な器官があるために、どこかに破れた場合は非常に危険になることが分かると思います。

 たとえば、脳の方に破れた場合は、脳膜炎を起こします。また、乳様突起の内部にはS字状血管洞という太い静脈が走っています。この静脈は、脳の血管を集めて心臓に送る静脈(内頸静脈)の一部にあたるもので、乳様突起の中の化膿巣がこの静脈を囲み、静脈の内部にまで病変が及ぶとS字状洞血栓症を起こし、さらに血管を伝わって心臓へ行き、全身的に広がって非常に重大な状態を引き起こします。

 たとえば、高熱が出てふるえが来たり、敗血症になったり、あるいは、肺やそのほかの場所に病変を起こしたりします。このほか、顔面神経まひ(顔が曲がる)や内耳炎(ひどいめまいが起こる)を起こしたりすることもあります。