難聴

 生活に必要な言葉の聞き分けが悪くなった状態を難聴といいます。言葉は音波として耳に入ってきますが、音波は耳介で集められ、外耳道を通ってその奥にある鼓膜を動かします。

 この振動は鼓膜につながっている小さな骨(耳小骨といい、いちばん奥の端が内耳の窓と連結している)を動かして振動は内耳の蝸牛の中に伝わります。

 蝸牛の中には感覚細胞があって、そこに聴神経の末端が分布しているので、ここで神経刺激が起こり、脳にまで伝わって音が聞こえる仕組みになっています。

 したがって難聴は音波の伝わる経路(外耳と中耳)の障害でも、音を感ずる部位(内耳や中枢神経系)の障害でも起こります。

 前者は伝音性難聴、後者は感音性(または感覚神経性)難聴と呼ばれ、この区別は治療方針を決めるうえで大切なことです。この両者が同じ側の耳で起こっている時には混合性難聴と呼ばれます。

スポンサードリンク

 主な伝音性難聴
 伝音性難聴は、軽度、中等度の難聴を起こさせ、次のようなものがあります。

● 先天性奇形によるもの
 頭部その他の奇形の一部として外耳道閉鎖症や、耳介の形成異常がみられることがあります。両方の耳に起きた時には手術ができる年齢になるまで補聴器を使って言葉をきかせ、言語の発育を助けます。

 また、奇形が鼓膜や耳小骨にも及んでいるものもあり、中には耳介や外耳道や、鼓膜には異常がないのに耳小骨が離れ離れになっていたり、癒着したり、あるいは変形していて振動がよく伝わらず難聴が起こることもあるます。

● 耳硬化症
 内耳の前庭窓周囲の骨の増殖のために耳小骨が動かなくなる病気です。両方の耳に起こることが多く、10~30歳代に始まって徐々に進行します。欧米人に多く日本人にはまれです。

● 中耳炎
 急性と慢性、カタル性(浸出性)と化膿性などの種類があります。急性中耳炎は適当な治療を受ければ、ほとんど難聴を残さないでなおりますが、慢性中耳炎になると鼓膜穿孔を起こしたり、肉芽が発生したり、また耳小骨が破壊されたりして、いろいろな程度の伝音性難聴があらわれます。

 特に真珠腫性中耳炎の場合には、早期に発見して手術を受けないと、骨の破壊が進行して、内耳障害を生じ、難聴の回復が困難になるばかりでなく、顔面まひや脳腫瘍などの合併症を起こす危険もあります。また癒着性中耳炎や鼓室硬化症の時には耳硬化症に似た難聴も起こります。

スポンサードリンク

 主な感音性難聴
 主として片方の耳だけの難聴が起こる病気としては、内耳炎、内耳震盪症(頭部外傷)、メニエール病、突発性難聴、聴神経腫瘍などがあります。

 しかし、これらは初期には互いに似た症状をあらわして診断がつきにくいことが多いので、片方の耳だけだからと軽く考えずに必要なすべての検査をしてもらって、早く適当な治療を受けるようにしなければなりません。

 両耳が同時に難聴になり、しだいに進行する病気としては、薬物中毒、騒音性難聴、老人性難聴、原因不明の進行性難聴などがありますが、これらの難聴の治療は困難なことが多いので、まず予防に努めることが大切です。

 しかし、原因不明のもので、ある程度進行したときには、一般的な治療のほかに、残った聴力をできるだけ活用できるように補聴器の装着や聴能訓練が行われています。

 補聴器に関しては、正確な聴力検査の結果に基づいて医師の指示に従って使用することをお勧めします。