耳なり

 外界からの音の刺激がないのに音を感じたり、外界の音とは別の種類の音が聞こえたりするとき、これを耳なりといいます。しかし人の声や音楽など、まとまったものが聞こえる場合は耳なりとは言わず、幻覚と呼びます。

 耳なりの大部分は、他人には聞こえないので、自覚的耳なりと呼ばれますが、ときには他人にも聞こえる他覚的耳なりと呼ばれるものもあります。

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● 原因
 他覚的耳なりの原因は比較的発見しやすいようです。たとえば、耳の近くの血管の異状による雑音、口蓋筋や耳小骨筋の異常収縮による雑音、あごの関節の異状による雑音などがあります。

 自覚的耳なりの原因は、多過ぎてわかりにくいのですが、外因性のものと内因性のものに分けられています。

 外因性耳なりの原因
 ① 器械的―頭部外傷、爆発、気圧変化
 ② 職業的―びょう打ち、飛行機整備などの雑音
 ③ 中毒性―一酸化炭素、水銀、ヒ素などの化学物質、ストレプトマイシン、カナマイシンなどの薬品
 ④ 感染症―中耳炎、内耳炎、インフルエンザ

 内因性耳なりの原因
 ① 循環系―高血圧、低血圧、動脈硬化、脳動脈りゅう
 ② 血液系―貧血、その他の血液病
 ③ 内分泌系―各種ホルモン失調、更年期障害
 ④ 代謝系―ビタミン欠乏、糖尿病
 ⑤ 中枢神経系―脳軟化症、脳腫瘍
 ⑥ その他―アレルギー性、心因性

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 以上のことからも分かるように、耳なりの原因は耳自体にないことが多いのです。したがってこの症状の臨床的な意味は、耳なりを手掛かりにして各種の中毒、職業病、公害の衛生管理をしたり、さらにこれから脳や血液などの病気を手繰りだすことにあると考えるべきです。

 診察を受けるときにまず耳なりの性質、次いでこれに関連した症状を詳しく医者に話します。普段の仕事の種類、勤務年限、騒音の程度、化学薬品の使用状況などをあらかじめメモなどをして診断を受ければさらに良いでしょう。