進行性筋ジストロフィー症

 進行性筋ジストロフィー症は、躯幹および四肢近位部の筋肉が統計的に障害される遺伝性の筋委縮症です。

 分類
 この病気は、遺伝の形や臨床経過などから、デュシャンヌ型、顔面肩甲上腕型、肢帯型の三つに大別されます。

 デュシャンヌ型は、幼児期に発病し、主として男性にあらわれます。ふくらはぎが異常に大きくなる、いわゆる仮性肥大を伴い、腰帯にまず異常が起こります。遺伝様式は伴性劣性です。

 顔面肩甲上腕型は、性別に関係なく、思春期に多く発病し、仮性肥大が認められるのは、まれなことです。初発部位は肩甲帯で、病気の進み方は比較的遅いのですが、顔面筋が委縮するのが特徴的です。遺伝様式は常染色体性優性です。

 肢帯型は、思春期か、それ以降に発病し、性別には関係が認められないようです。初発部位は必ずしも一定ではありませんが、膝関節などの拘縮(関節が固定してしまうこと)、あるいは変形がしばしば認められます。遺伝の形は常染色体性劣性です。

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 症状
 筋力低下は、まず胴体に近い部分にあらわれます。たとえば、デュシャンヌ型では3~4歳ごろ、腰帯部の筋力低下のため、遊んでいて転びやすい、つまずきやすい、階段を上りにくい、速く走れないというような訴えから始まります。

 また、肩甲帯から始まる顔面肩甲上腕型の場合は、棚の上の物が取れない、ばんざいができない、肩甲骨が飛び出ているなどの異常があらわれます。おかされる筋肉には、痛みや発赤などは全く認められません。また、知能は、原則的におかされることはありません。

 顔面筋は、顔面肩甲上腕型の場合だけ著しく障害されます。眼輪筋の障害のため目をつぶっても白目が見えていたり、口笛が吹けなくなったりします。頚部の筋は、顔面肩甲上腕型以外は、ふつうあまり委縮はありません。

 上肢では、肩甲帯、上腕筋肉の委縮および筋力低下が目立ちます。そのために肩甲骨は、後方に突き出して、いわゆる翼状骨と呼ばれる形になります。腕を上方、側方、前方にあげるのが困難となり、しだいに、ひじの屈伸ができなくなります。しかし、手指の筋力は、近位部の筋力に比べ、かなり良く保たれています。

 脊椎は、前方に弯曲してきます。

 下肢では、殿筋、大腿伸筋群が筋委縮のため、一度しゃがむと、その位置から立ち上がりにくくなります
 下腿では仮性肥大、すなわち、ふくらはぎが異常に大きくなるという変化が認められます。これはデュシャンヌ型では必発します。

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 歩行は、いわゆる動揺性歩行になります。患者を床に寝た位置から立ち上がらせると、きわめて特異な動作をします。すなわち、登攀性起立と呼ばれる動作で、一気には、からだを起立させることができません。

 まず手足で体を支え、次いで手を膝に置き、だんだん手を大腿部を上へよじ登るようにしながら、ようやく直立します。なお、筋委縮が高度に進行しても、ものを飲み込んだり、しゃべったりする筋肉はおかされません。また、呼吸筋は障害されることはありません。

 経過は、症状のところで述べたように各病型によって異なり、デュシャンヌ型では、発病数年または十数年後に、多くは歩行や起立が困難となります。股、膝関節は、曲がった状態で、関節の動きが極度に制限された拘縮におちいります。また、進行した症例では脊椎の側弯も、しばしば認められています。