風邪の症状

 風邪は、多くの種類のウイルスをはじめ、いろいろの原因で起こりますが、原因は違っていても、その症状は、ある程度まで共通なものが多いのです。

 いずれの場合も呼吸器がおかされるので、鼻炎が起これば、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、咽頭炎では、のどの痛み、喉頭炎では、声がれ、気管・気管支炎、肺炎ではせき、たんなどの自覚症状があらわれます。

 診察してもらうと、呼吸器のそれぞれの部位に、炎症の所見、たとえば咽頭炎では、のどの粘膜の充血、扁桃や咽頭後壁のリンパ濾胞の腫大と充血、さらに首のリンパ腺もはれて、押さえると痛みがあるといった所見が認められます。

 このような呼吸器の症状に加え、炎症に対する全身的な反応として、熱、頭痛、全身のだるさなどの症状があらわれます。

 こうしたいろいろの症状が徐々に、あるいは急激に起こってくるのですが、2~3日でそのピークに達し、約1週間でしだいになおっていくのがふつうです。

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● 風邪の臨床病型
 風邪の症状をさらに詳しくみると、特に熱が高く出る型、熱はなくて、鼻水、くしゃみに悩まされる型、のどの痛みが強い型など、いろいろの型の風邪があることがわかります。

 普通感冒
 風邪の中で最もよくかかる型で、くしゃみ、鼻水で始まります。はじめは、水のような鼻水が大量に出ますが、2~3日すると、粘膜性あるいは膿性の鼻水となり、鼻づまりも強くなります。のどの痛みやせきなどの症状もありますが、それほどひどいものではありません。

 熱も出ないことが多く、あっても、せいぜい37度台です。頭痛や全身のだるさも軽いものです。つまり、全体的に見ると鼻炎の症状が他の部位の症状に比べて目立って強いわけで、一般に「鼻かぜ」と呼ばれています。この鼻炎の症状は、およそ1週間でなおりますが、ときに、副鼻腔炎や中耳炎を合併することがあります。

 インフルエンザ
 風邪の中で最もひどい型で、突然に高い熱で発病し、頭痛、腰痛、全身のだるさなどの全身症状が強くあらわれます。それと同時に、あるいはやや遅れて、鼻水、のどの痛み、せきなどの呼吸器からの症状も出てきます。

 熱は、最高38~39度あるいはそれ以上に達しますが、発病後3~4日すると下がり始めます。熱が下がると、頭痛その他の症状も軽くなり、1週間ぐらいでなおるのがふつうですが、せきや全身のだるさが後まで残ることがあります。時には、肺炎を合併して重症になり、死亡することもまれではありません。

 咽頭炎
 鼻水やせきも出ますがたいしたものではなく、のどの痛みが強く、のどの粘膜が充血してはれるのが特徴的です。扁桃や咽頭後壁のリンパ濾胞がはれるほか、口やのどの粘膜に白い斑点や小さい水泡、ただれができたり、首のリンパ腺がはれて痛みを訴えたりします。熱は、高熱が出ることもあり、ほとんど平熱のままのこともあります。

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 咽頭結膜熱(プール熱)
 高い熱、頭痛、全身のだるさなどの全身症状は、インフルエンザとほぼ同様に強く、同時に激しいのどの痛みがあります。そのほか、目がおかされて結膜炎を起こします。これは他の風邪とは違った特徴です。また、大きな流行は、夏、水泳プールを媒体にして広がることが多く、このため、プール熱とも呼ばれています。

 クループ
 急性喉頭炎を主とする風邪で、急に呼吸が苦しくなるのが特徴です。ふつう小児にみられます。

 気管支炎、細気管支炎、肺炎
 鼻やのどなどの上気道よりも、気管支、肺などの下気道が強くおかされ、せき、たん、場合によっては呼吸困難、チアノーゼもあらわれます。熱もしばしば高くなります。時には重症の経過をとります。

 異型肺炎
 風邪の症状のうちで、せき、たんの下気道症状が激しく、また熱も出ます。とくに胸骨の下あたりの痛みを訴えることも多いのですが、一般の肺炎とは違い、肺炎という病名から感じられるような重いものではなく、軽い経過でなおっていくのがふつうです。

 臨床病型と病原体との関係
 風邪のいろいろの病型の中で、咽頭結膜熱の場合は、アデノウイルスによって起こりますが、このようなある一つの病原体で起こることはむしろ少なくいろいろの病原体が、同じ型のかぜを起こしてくるのがふつうです。

 普通感冒は、ライノウイルス、コロナウイルス、アデノウイルスなどいろいろのウイルスで起こりますが、その症状からは、病原を推定することは困難です。

 インフルエンザは、インフルエンザウイルスがその病原であることは言うまでもありませんが、その他のウイルスでも、インフルエンザのような症状を起こすことまあります。

 咽頭炎は、アデノウイルスやれんさ球菌という細菌で起こることが多いのですが、ほかの病原体で起こることもあります。

 つまり、風邪の型と病原体との関係は複雑で、臨床病型から病原体を決めることはできないし、また逆に、一つの病原体がいろいろの型のかぜを起こしうるということです。しかし、ライノウイルスやコロナウイルスは主に普通感冒を起こし、アデノウイルスは咽頭炎を、RSウイルスは小児で気管支炎や肺炎を超すことが多いといった、病原に関して一定の傾向があることは認められています。