角膜炎

 角膜炎は、結核、梅毒などの全身性の伝染病や、トラコーマ、流行背角結膜炎(はやり目)など目自身の伝染病、あるいは目に受けた物理的・科学的刺激(外傷や酸、アルカリなど)、栄養障害などが原因となって角膜に障害が生ずる病気です。

● 角膜炎の分類
 角膜炎には、角膜の表層に炎症がおこるものと、角膜の深層(実質)に炎症の起こるものとがあります。

 角膜の表層に起こる病気
 角膜の表層に起こる病気には、表在性点状角膜炎、表在性ぴまん性角膜炎、糸状角膜炎、樹枝状角膜炎などがあります。

 表在性点状角膜炎は、流行性角結膜炎の経過中に起こりやすい病気です。流行性角結膜炎が発病してから1~2週間後の強い結膜炎の症状が軽くなってきたころ、十数個ぐらいの薄い小さな点状の濁りが、角膜の中央部の表層に出てくる病気です。

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 表在性ぴまん性角膜炎は、おもにカタル性結膜炎、トラコーマ、ビタミンB12の欠乏、ときに涙液分泌不足などから起こります。角膜の表層に細かい点状の濁りがあらわれます。

 糸状角膜炎は、外傷、角膜ヘルペス(角膜に小水泡が群がってできるもの)、流行性角結膜炎などのときに起こりやすく、角膜の表面に細かい灰色の糸状物が付着していて、その一端は遊離しています。

 樹枝状角膜炎(角膜ヘルペス)は、ヘルペスというウイルスによって起こり、角膜の表層に点状の濁りや、小さな水泡ができて連なり、木の枝のような濁りとなります。

 そのほかに兎眼(眼球がいつも露出している状態で、眼球突出や眼瞼外反症のために起こりやすい病気)のときや、三叉神経の第一枝にまひが起こった場合などに起こる表在性の角膜炎もあります。

 角膜の深層に起こる病気
 角膜の深層(実質)に起こる代表的な病気には、梅毒から起こる梅毒性角膜実質炎と、結核による結核性角膜実質炎とがあります。

 梅毒性角膜実質炎や、結核性角膜実質炎では、異物感やまぶしさが強く、多量に涙が出る病気ですが、結核性角膜実質炎の方が症状としては軽いものです。しかしこれらのいずれの病気も、炎症が高度になると虹彩炎や虹彩毛様体炎などを併発してきますが、その場合は、その後の経過はあまり良くありません。

● 症状
 角膜炎には全般に共通する症状がありますが、炎症の生じた場所によって異なる症状や経過を示すことがあります。

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 一般的な症状
 まず目がごろごろしてきて、まぶしくなり、涙が出てきます。またときどき強い目の痛みが加わり、目をあけていられなくなったり、ものがかすんで見えにくくなったりします。多角的には球結膜(白眼)が赤くなり、角膜(黒眼)に白い濁りが出てきますが、軽いうちは肉眼では見えません。 炎症が進むと症状はさらに強くなり、角膜の濁りも濃くなって範囲も広がってきます。

 表層角膜炎の症状
 表在性点状角膜炎の場合は、ときどきしみるような感じがしたり、まぶしかったりしますが、症状は軽く、視力障害があっても非常に軽いものです。濁りもしだいに薄くなってきますが、きれいになるには数カ月かかります。

 表在性ぴまん性角膜炎も、まぶしさ、異物感、かすみなどがあらわれますが、症状が軽い病気です。糸状角膜炎は異物感が強く、涙の多い、症状の強い病気です。樹枝状角膜炎(角膜ヘルペス)も症状が強く、目の痛みも加わって、角膜の知覚が落ちます。また再発のしやすい病気です。

 角膜実質炎の症状
 梅毒性角膜実質炎の場合は、角膜のまわりに充血が起こり、角膜実質には濁りが生じて、角膜の後面に沈着物がつきます。この角膜実質の濁りはしだいに広がって、角膜の全面、全層におよびます。

 炎症がさらに進むと角膜に血管が侵入してきます。濁りは数ヵ月後にはしだいに吸収されてきますが、多くの場合、多少の濁りが残ります。また一般に数ヵ月後には片方の目も発病してきます。

 結核性角膜実質炎の場合も、角膜のまわりに充血があり、角膜実質が斑点状に濁っていますが、一眼性の場合が多いものです。また、症状が一進一退を繰り返して、非常に長引き、多くの場合、角膜に濁りが残ります。これらのいずれの場合も、炎症がひどいときには虹彩炎や虹彩毛様体炎を併発します。