肺うっ血

 心臓は、血液を体内で循環させるポンプの役割をしていますが、その働きが不十分だと、肺に「うっ血」をきたします。この状態が肺うっ血ですが、心臓の働きが弱っている状態ですから重症です。

 いろいろな病気に伴って起こりますが、各種の心臓弁膜疾患、高血圧症、心筋梗塞、肺梗塞に最も多く、その他の心疾患、甲状腺中毒症、貧血、慢性肺疾患、栄養失調症などがこれにつぎます。

 これらの病気にかかって、脈の不正や呼吸器の感染、過食、興奮、妊娠、出産、貧血、運動の過剰といった要素が加わると、いっそう肺うっ血を起こしやすくなります。

 発生頻度の男女差はありませんが、一般に、男子の方が早期に肺うっ血をきたし、重症です。女子は月経の前期が危険です。また、年齢的には、若い人より老人に起こりやすい傾向にあります。

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● 症状
 初期症状は、階段の昇降時とか、急いで歩く際などに、いつもより強く息切れを覚える程度ですが、病気が進むにつれてしだいに、ふつうに歩くのも苦しくなり、ついには寝ていても苦しく、床の上に座って呼吸する(起座呼吸)ようになります。

 夜間に苦しくなって、目を覚ますこともあり、不安感や胸の苦しさのために不眠におちいります。夜間、発作的にぜんそく様の呼吸困難を起こす状態は心臓ぜんそくと呼ばれ、重症のものです。

 せきとたんがしだいに増えます。たんは、一般に白色で透明ですが、時には血たんを出すことがあります。

 尿量は著しく減少して、1日800ミリリットル以下となり、顔や手足がむくんできます。また、食欲がなくなって、吐き気を伴います。

● 治療
 原因となる病気があって、息切れの程度が強まってきたときは、早めに医師の診断と治療を受けるようにしなければなりません。呼吸困難や血たんなどのあるときは、入院治療が必要となります。

 各種の強心利尿剤を用いますが、いろいろな検査や、病状に応じて用いられますので、医師の厳重な指導を必要とします。

 酸素吸入や、瀉血を行う場合もあるようです。肺炎や肺梗塞などを起こしやすいので合併症のあるときは、その治療がもちろん必要となります。

 肺うっ血は心臓病の一つである憎帽弁狭窄症にもみられます。この場合は、心臓の左房圧が高いために起こるのですから、弁膜の手術(弁口切開)を行うことによって改善されます。

 発作時の手当
 患者の不安を増すような言動は厳しくいましめ、患者の精神的な安静を保ちます。
 ベットの上半身側を上げるとか、ひじかけいすなどに腰かけさせます。あるいは、布団を重ねてよりかからせます。横臥位はかえって苦しくなります。
 手足の微温欲を試みます。
 左前胸部(心臓のある部位)、背中に湿布を貼ります。

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● 予防
 原因となる病気のある人は、定期的な診断を受けるとともに、次のような注意が必要です。

 からだの状態にあった体操や運動を工夫し、ふだんから心臓や血管の働きを良くしておくように心がけます。胃潰瘍や痔などによる出血のある人は、早期にこれをなおさなければなりません。

 また、かぜや下痢にならないように注意します。妊娠したときは、その継続の可否を医師に相談します。