肺嚢胞症

 肺の組織の中に、空気や液体を含む異常な空間(嚢胞)のできる病気で、先天性のものと後天性とのものがあります。

 先天性のものでは、生後間もなく発見されるものから、20歳ごろまでに発見されるものまであります。嚢胞の内容は、液体のもの、空気だけのもの、液体と空気の両方を含むものなどがあります。

 いっぽう、後天性のものは、10歳以上からみられますが、多くは40~50歳になって発生します。男性に多く、その発病率は、女性の約5倍です。

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 若い人では正常な肺に発生しますが、年齢が上がるにつれて、その大部分は、肺結核、肺気腫、肺線維症に合併するものが多くなってきます。その内容物は空気だけです。

 嚢胞の大きさは、だいず大から小児の頭大のものまでさまざまで、その数も一定していませんが、形はすべて球状または半円状で、肺の表面から突き出しています。

 片肺だけに限って生ずるものもありますが、両肺に発生するものも少なくありません。

● 症状
 先天性の場合
 嚢胞の内容が液体のものは、全く症状がないので、X線写真で偶然に発見されることが多いものです。液体と空気で満たされた嚢胞でも無症状のことが多いのですが、気管支と交通が多少あるため、まれに、細菌感染を起こし、発熱やせき、たんが出て、肺化膿症と間違われることがあります。

 内容が空気だけの場合は、気管支と完全につながっているため、気管支炎などを起こすと、嚢胞と気管支との交通部が腫脹して、ちょうど弁のような形になりますから、せきをする際、嚢胞の中に入ったままで出にくい状態になります。

 そのため、嚢胞が急激に大きくなり、周囲の肺ばかりでなく、心臓や反対側の肺も圧迫しますから、呼吸がしにくくなって浅く速くなります。くちびるは紫色になり(チアノーゼ)、脈拍も速く弱くなって、放置することは大変危険です。

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 後天性の場合
 嚢胞の小さいものは無症状で、長期間そのままの状態が続く場合が多いようです。しかし、数年たつうちに、嚢胞は徐々に大きくなってくることがあります。

 そうなると、階段や坂道を登るときに息切れがしてきますが、これは、嚢胞が大きくなるにしたがって強まってきます。まれに、両肺にある嚢胞が同時に大きくなることもあります。この場合は、症状がさらにひどくなります。

 小さな嚢胞でも、20~30歳の若い人では、しばしば、なんの原因もなく、突然嚢胞が破れ、空気が胸腔の中に出て、肺を圧迫、収縮させることがあります(自然気胸)。そのため、チアノーゼや呼吸困難が起こり、脈拍も速く弱くなって、とても危険な状態になります。