肺化膿症

 肺の一部、またやや広い部分に、一種類あるいは多種類の病原菌が感染を起こすと、はじめ肺炎様の病巣となりますが、1週間ぐらいでその部分の構造が破壊されて膿瘍となります。次いで、膿汁が気管内に排出されると、そこに空洞ができます。このような状態を総称して、肺化膿症といいます。

 口腔内の細菌(ぶどう球菌、れんさ球菌、肺炎球菌など多種類)が気管内に流入して起こる場合が多いのですが、ほかの化膿巣、たとえば骨髄炎、化膿性腹膜炎などから細菌が血流にのって肺に感染し、そこに膿瘍を作ることもあります。この場合は、一種類の細菌であることが多いようです。

 また、肺がんに合併して起こることもあります。

スポンサードリンク

● 症状
 はじめは、寒け、発熱、胸痛、せき、呼吸困難などがあって、肺炎と似た症状がみられますが、発熱が1週間ぐらい続いた後、多量の膿たんが出ます。たんは多種類の細菌が混合感染した場合は悪臭があります。一種類の細菌の感染では、悪臭はありません。

 治療をせずに放置しておくと、他の健康な肺や胸膜に炎症が波及して、肺炎や自然気胸、膿胸を続発させ、重い病状となります。

 治療しても、それが不完全な場合は、症状はなくなりますが、膿瘍が被膜に包まれたままの状態で、長く経過します。これを慢性膿瘍といいます。また、空洞まで進んだ時は、空洞の壁が厚くなって、治癒しにくくなり、何カ月も何年も膿たんを出すことがあります。

 この病気の初期は、かぜや気管支炎、肺炎と間違われます。肺化膿症がこれらの病気と間違われて抗生物質を用いた場合も、早く解熱し、その他の自覚症状も消失してきます。しかし、そのまま放置すると、前述の慢性型へと移行します。